@article{oai:setsunan.repo.nii.ac.jp:02000109, author = {浅野,慎 一}, issue = {1}, journal = {摂南社会学}, month = {Mar}, note = {第二次世界大戦敗戦後の日本には、日本を「島国」、日本人を「単一民族」と見なし、しかも希薄な民族意識しか持たないという独特の国家・民族意識が生成した。これは、戦後の日本国憲法制定を一つの重要な契機として、また東西冷戦下でのアメリカの政治戦略、および、アメリカが浸透・定着させた一国単位の「近代化」論の社会観に基づいて構築された。戦前の近代的諸制度は「封建的」と再定義されることで、忘却・隠蔽された。  戦後の「日本国/日本国民」は、天皇を統合の象徴とする「国体」の下、国民主権という「政体」によって民主的権利を享受する政治的共同体である。そこで、国際的・階級的主体性は放棄し、同時に自らの民族や統合の根拠について思考停止することが民主主義・国民主権を安泰にするための作法となった。国民主権の限界を克服したはずの憲法平和主義も、帝国主義の侵略戦争と人民の民族解放闘争を同一視してともに「悪」とみなし、「島国」単位の安全保障のための単なる手段へと換骨奪胎・矮小化された。  日本共産党や在日朝鮮人は、こうした戦後の「日本国/日本国民」の形成に異議を申し立てた。しかし、「民族自決/国民主権」の論理によって一方では包摂・統合され、他方では排除・分断されていった。その背景には、米ソ両帝国主義国の政治的共犯関係―反ファシズム統一戦線、および、東西冷戦―が横たわっていた。}, pages = {68--94}, title = {「日本国/日本人」の構築と矛盾―日本国憲法制定との関連で―}, year = {2024} }